堀正岳さんの『知的生活の設計』という本をKindle Unlimitedで読みました。めちゃくちゃ参考になる本でした!
この本を読んでの気づきは、
・自分のログを残すような気持ちで、気楽に情報発信していけばいい
・情報が氾濫している時代なので、キュレーションするだけで価値がある
ということです。
以下、ハイライトしたところを紹介したいと思います。
★情報や知識それ自体は多ければ多いほど良いものと思われがちですが、情報それ自体はすでに検索可能なコモディティ(同質的、普遍的なもの)と化しているため、情報量そのものよりも、むしろ、適切な場面で適切な情報を引き出すことができる「情報の編集能力」にこそ価値がある
★情報の編集能力とは、日常的な場面ならば、その場に合わせた話題を思いつくということであったり、与えられた仕事のなかでクリエイティビティを発揮するための発想力であったりします。そして究極的には、あなたにしかできない情報のまとめ方があるということを意味しています。
★マイクロソフト創業者でビル&メリンダ・ゲイツ財団会長のビル・ゲイツ氏は毎年夏の読書リストを公開することで知られていますが、2018年にはハンス・ロスリング氏の統計的な世界の見方についての書籍『Factfulness』や、ウォルター・アイザックソンの『レオナルド・ダ・ヴィンチ』といった教養書を挙げるとともに、ジョージ・ソーンダーズの『リンカーンとさまよえる霊魂たち』を挙げるといったように、情報の深みと感情の深みを兼ね備えた選書を行っています。
★「他人と同じものを読んでいれば他人と同じ考え方しかできなくなる」と村上春樹が『ノルウェイの森』で書いたように、私たちの知的生活においても、触れる情報を私たちの個性によって編集して、他人と違うものを追うほうが、より利用しやすく、大きなメリットがあるといえます。
★知的生活とは情報から受ける刺激を長い期間にわたって積み上げ、それを発信してゆくという生き方のことを指す
★未来にどこまで到達したいかを意識して今日の活動量を決めることが「知的生活を設計する」ということなのです。
★知的生活を設計することは、やがて到達したい未来を意識しながら、今日を楽しむための考え方といっていいでしょう。
★毎日の読書や、隔週に観る映画といった楽しみを、1年、3年、5年、10年かけて積み上げる「長い目でみて成長する趣味」だと考えるとき、毎日、毎週にどれだけの活動をしている場合、どれだけの量に転換されるのかを意識してみましょう。もちろんこの数字は大きければ大きいほど良いという意味ではなく、少数の本をずっと吟味したい、膨大な本を渉猟したいといった好みによって変わります。
★もし本を楽しむことだけが目的なら、時間が空くたびに読書をするという考え方でもいいでしょう。しかしここで考えているのは、知的な刺激から受ける「新しい発見」や「つながり」を見つけることです。その場合、情報のインプットは定常的に行い、読んだ本と読んだ本のあいだにつながりを見つける確率を高める必要があるのです。
★新しいインスピレーションに出会うためにも、様々な情報の検討を繰り返し、可能な組み合わせを追求し尽くさなければいけません。それには天才的なひらめきを待つよりも、情報のインプットとアウトプットを継続したほうが結果的に近道になります。
★私の場合、読んだ内容それ自体よりも、あとで利用するための引用を記録することを重視しています。ビジネス書も、海外文学も、そして難しい専門書も、1冊の本が10〜20ほどの引用文に還元されてゆくわけです。最初こそ、意味のある、最も重要な部分を引用として選ぼうと意識していましたが、しだいにそうした部分はほとんど自明であることがわかってきました。たとえばKindleで洋書を開いた場合、他の多数の読者がハイライトした部分が下線で表示されますが、その本の重要な主張や、多くの人が感動している箇所は概ね共通していますし、「読んでいればわかる」ことがよくあり ます。そこで、そうした要点ばかりではなく、自分が勝手に選んだ基準で引用を収集してゆくということをいつしか始めました。「著者が未来の予測をしている箇所」「作品に登場する密室」といっ た恣意的な基準で、いわばコレクションをしはじめたのです。こうした収集をしばらく続けると、面白い熟成が始まります。ちょっと意地の悪いコレクションですが、私は10年前のビジネス書で著者が未来を予測している引用を集めてコレクションにしており、それが現在実現しているかを調べたリストを作ったことがあります。本の内容をその後の歴史のなかに置いて比較することで、10年前の予測から学ぶことができるわけです。
★DayOneはiOSとAndroidで利用可能なジャーナルアプリで、その日にあった出来事を短いメモとして追記してゆくことが可能です。本ならばその日に読んだ箇所の引用を、あるいは読んだページの写真をカメラで撮影して次々に加えていけます。これだけならばふつうの読書ノートですが、これらのメモに対してハッシュタグを加えることによって、引用と引用のつながりを表現してゆくことができま す。たとえば「タイムリープもの」だったり、「主人公が『わたし』の小説」といったようなタグで、なんとなく気になるパターンを捉えていってもいいでしょう。しばらくこうしたパターンの蓄積を続けていると、やがてこのハッシュタグから関連した本のタイトルや引用句がすぐに一覧できるようになります。たとえば先程の「密室」のハッシュタグを選ぶだけで、関連した本が一覧表示され、これまでみえていなかったつながりやパターンが意識しやすくなります。
★動画や音楽についてはストリーミングサービスが発達してきたおかげで、これまでになく幅の広いコンテンツを網羅的に楽しむことが可能になっています。かつては映画館やレンタルビデオ店に足しげく通わなければいけなかったことを考えると、オンデマンドでジャンル内の経験を広げつつ、これはという作品は現場に行くといった組み合わせによって、マニアへの扉が開きやすくなっているといってもいいでしょう。こうしてコンテンツをいつでも手元に引き寄せることができるということは、たとえば内容を引用したいときにすぐに確認できるということでもあります。「あの場面で、あのセリフはどうなっていただろうか?」といった、かつては手間のかかった調べものが、飛躍的にラ クに実現可能になっているのです。
★たとえば、Spotifyでベートーヴェンの交響曲第5番で検索すると、様々な時代の、様々な指揮者の、あらゆる交響楽団の、あらゆる版のアルバムが何百とヒットします。同じ交響曲でも指揮者や時代の違いによって異なる味わいを、専門家同様に確認しつつ聞き分けてゆく楽しみ方が生まれます。第5 番を比較するだけでもおそらく数年はかかるでしょうし、特定の指揮者だけ、特定の交響楽団だけと いった組み合わせを楽しむといった、およそ無限の切り口があるといえます。 こうしたことが可能なのも、SpotifyやNetflix、Amazon プライム・ビデオといったサービスに定額で視聴することができ る膨大なコンテンツが集積しており、それが簡単に検索可能だからです。コンテンツ検索で自分なり の方法で串刺しにすることで、新しい境地を簡単に開くことができるわけです。
★コンテンツが一箇所に膨大に存在するということは、多くの人にとっては、どのようにして正解を探せばいいのかという「Decision Fatigue =決断疲れ」が発生します。選択肢が多すぎて、かえって選ぶことができなくなるという逆説的な状況です。すると、こうした情報の海のなかから、ある基準に従っておすすめを選出する目利きの必要性も高まってきます。美術館や博物館におけるキュレーターと同じように、日常の膨大な情報を選別し、鑑定する役割です。
★一つひとつの作品を気ままに楽しむことが基本です。しかし今日見た作品を明日見る作品とつなげてゆき、今日聴いた音楽をいずれ聴くことになる膨大な可能性のなかでつなぎとめたいと考えるときに、既存のサービスが提供してくれる網羅性と検索性は大きな武器になってくれるのです。
★『テクニウム』(みすず書房)の著者ケヴィン・ケリーは「1000人の本物のファン」というブログ記事で、あなたがどんな発信をし、どんなプロダクトを生み出したとしても、絶対にそれに目を通して購入してくれる熱量の高いファン1000人ほどいれば、クリエイターとしての活動を維持できると指摘しています。