苫米地英人さんの『30代で思い通りの人生に変える69の方法』という本を読みました。
すごく納得感のある本でした。ショーン・エイカーさんのポジティブ心理学や、精神科医・樺沢紫苑さんの視点にも重なるものがあると感じました。
とくに「私たち人間が望んでいるものは、おおよそ他愛ないものである」という指摘に共感しました。
今を生きて、日々の小さな出来事を楽しめるようになると、何気ない日常が輝きだすように思います。
また、30年後のまったく新しいリーダー像を自ら描き出していくため、いろんな知識のゲシュタルト(知識のまとまりのようなもの)を身につけていこうというアドバイスがよかったです。
以下、よかったところを抜粋したいと思います。
★周りを見回してみると、世間的に成功者といわれる人の中には、本人がちっとも幸せを感じていなかったり、私生活で大きなトラブルを抱えていたりする人がかなり目立ちます。なぜこんなことが起こるのでしょうか。理由はじつに簡単です。これは、「自分の思い通りに生きてこなかった」 からです。そのせいで、本人は世間的な成功を手にした後も満足を得られないのです。とても単純な話に聞こえるかもしれませんが、人生で最も重要なことをひとつ挙げるとすれば、それは「思い通りに生きること」です。思い通りに生きれば、いま取り組んでいること、これから取り組んでいくこと、あらゆる人生の選択と行動は、その瞬間に心から楽しい取り組みに変わります。雑事やルーティンワークが毎日積み上がり、飽き飽きする日常のように見えていたすべての事柄は、意味を変え、新しい価値を放ち始めます。
★私たちのほとんどは、思い通りに生きるということを、じつはまったくしていません。私たちはふだん自分の考えで行動していると思っているものの、その考えが本当に自分の考えであることはごく稀です。自分の考えというよりも、世間の常識や他人がどう思うかを自分の行動基準にすることがほとんどです。
★私は、人間が思い通りに生きて得たいものは、おおよそ他愛ないものだなと思います。
★人間の欲望は際限がないといわれながらも、私たちが本当に望んでいることは、景色のいい場所で青々とした海や山を眺めたいとか、独身者ならガールフレンドを喜ばせたいとか、仕事で上司や取引先を感動させたいとか、そんなものではないでしょうか。
★20代、あるいは 30代でアメリカの大学院博士課程を卒業し、Ph.D.を取得することができれば、知識のゲシュタルトをたくさん身につける上でこれほどいいことはありません。そのようなチャンスがある人は、ここ一番、寝食を忘れてそれに取り組んでほしいと思います。
★3カ月でひとまとまりの知識を身につけていけば、自分の中に1年で4つのゲシュタルトをつくるこ とができます。30代の10年間それを継続すれば、40のゲシュタルトを身につける計算です。それを40代、50代においても継続していけば、自分の中で面白い現象が起こることに気づくでしょう。それは、知識のゲシュタルトが3カ月にひとつずつ増えていくのではなく、あるときを境に、飛躍的 にゲシュタルトの数が増加していく現象です。
★30年後に、いま会社のトップに座っている 50代、 60代の社長と同じような人間になったとしても、それは決して成功ではありません。いまの社長は、20世紀を土台にした旧世代型のトップです。読者のみなさんが目指すべきは、21世紀を土台にした、30年後のまったく新しいトップ像であるはずです。とすれば、私たちは、21世紀の新しい知見に基づいたたくさんの知識のゲシュタルトを身につけ、それによってまったく新しいゴールを見出し、同時にまったく新しい自己像を未来に実現していく必要があるでしょう。そのためには、誰かが教えたあてがいぶちの世界観を適当に撫でまわすことで満足していてはいけません。自分の力で構築した、揺るぎない、確固とした世界観を獲得すべきなのです。
★小乗のゴールを持ち、趣味をやる。あるいは、大乗のゴールを持ち、地域貢献や社会貢献をする。 す ると、スコトーマが外れて、なんと職業で稼げるようになります。
★いまこそ、人間の価値はお金で量れないという原点を思い出し、小乗と大乗の人生のゴールを考えることです。 それがスコトーマを外し、脳は勝手にイノベーションとブレークスルーを見つけ出しま す。それがお金という職業の成功をもたらすのです。
★すべての人間関係は、相手のニーズをどのようにして満たすかです。 そして、それが人生のゴールを達成する鍵です。最も身近な結婚相手一人にさえそれができず、幸せにしてやることもできない人間に、人生のゴールを達成できるはずがありません。
★子どもが大人になって自分の人生のゴールを達成するようにしてやるためには、第一に知識を獲得することを、「子どもにとって楽しいこと」にしてあげる必要があります。そこで、私は幼い息子に、 機会があるたびに物事や息子がやりたいと言っていることについて、理由を問うことを習慣にしまし た。 たとえば、「花はなぜいい匂いがするの?」とか、「心臓は、なぜどくどく動いているの?」とか。 返ってくる説明は、間違っていてもいいのです。 説明しようとしている間、息子の脳の前頭前野の働きが活発化し、それがIQを高める効果をもたらします。 そうやって IQを高めてやると、 知識を獲得することは楽しい、面白いと自然に感じるようになるからです。
★自分がハッピーになるための方法は、これまでの人生経験から、あなたもすでに知っているはずです。すでにふれたように、自分がやりたい仕事をやっているときは誰もがハッピーになれるし、やり たいことをやって出した結果に対して周囲の人が喜んでくれればやはり、誰もがハッピーになれま す。ほかにも、たとえば格闘技でフルコンタクトの真剣勝負をするとハッピーになれるという人もいるし、坐禅を組んで瞑想をするとハッピーになるという人もいます。冒険旅行に行くでもいいし、釣りでもいいし、庭の盆栽の手入れでもいいし、絵を描くでもいいわけです。人それぞれハッピーになるための方法はたくさんあるものです。そして、自分がハッピーな気持ちになることをどんどん行 い、自分でハッピーになればいいわけです。うつは自分でやっているわけですから、ハッピーを自分でできないはずはありません。これが達人の領域になると、過去のハッピーの記憶からそのときの情動を呼び出して、好きなときにドーパミンやセロトニンを分泌させることができるようになるわけで す。
★じつは、この世はすべて情報によって出来上がっています。どういうことかというと、この世というのは、自分が対象をどう認識したか、ということだけで成り立っているわけです。これは情報世界のことだけでなく、物理世界もまた、自分の認識だけで出来上がっています。自分の認識がこの世のす べてを成り立たせているのに、わざわざそれをネガティブに認識する必要があるでしょうか。もしネガティブに認識するとしたら、それは自分を否定するということです。極端に言えば、これでは生きる意味を失うということになりかねません。
★コーチングの元祖で私のパートナーでもあるルー・タイスは、「夜眠るとき、明日はいい日になると 思って眠りなさい。そして、朝起きるときに、きょうはいい日になると思って起きない」 とよく言いました。
★「明日はいい日になる」「きょうはいい日になる」と思っていれば、その日一日、いいことしか見えません。それは、スコトーマの原理が働き、悪いことが起きても目に入らなくなるからです。
★同様に、「生きていてラッキーだ」と思っていれば、ラッキーな出来事しか目に入りません。 その結果、ここまでならアンラッキーで、ここからはラッキーだという境界線はなくなり、その人は何を見てもハッピーだと感じるようになります。そして、問題が起こったとしても、それについてあれこれ思い悩むこともなく、何ほどのこともないというように簡単に解決してしまいます。 そういう人はうつ病にはなりようがないのです。
★起業を成功させるコツは、読者のみなさんの頭の中にある価値を、形にすることです。もはやパナソニックだ、ソニーだという時代は過去のものなのです。 そのために最も重要なことは、みなさんが本当に心から求めている「ハッピー」を追求することです。それが、いずれみなさんの付加価値を驚くほど大きくしてくれることでしょう。
★30 代までのみなさんも、本書で示唆されているような起業や転職のみが自己実現の場ということではないことは理解していただけていると思います。自らの属する現在の組織の中で、周囲を巻き込んでエフィカシーを上げていく。これもひとつの選択です。これをコレクティブエフィカシー(集団的エ フィカシー)といいます。実際に、いわゆる経団連企業の中でも、トップに駆け上っていった人たちの中に、こういう方々がいることは事実です。なぜならば、コレクティブエフィカシーを引き起こせる人物は、自然とリーダーとして選ばれるからです。