ユヴァル・ノア・ハラリ著『ホモ・デウス』

10冊目に紹介する本は、ユヴァル・ノア・ハラリさんの『ホモ・デウス』です。

イスラエルの歴史学者、ハラリさんの著書は3つあります。

一番有名なのは1作目の『サピエンス全史』。神や国家や企業やお金などの「共同主観的な現実=虚構」を信じる能力があったから、人類は地球上で最も栄えた種になった、という内容です。

2作目の『ホモ・デウス』では、戦争・飢饉・疫病という3つの脅威を克服し、これまでにないほどの繁栄と健康と平和を手に入れた人類は、これからはIT×バイオテクノロジーの力を使って自由に身体や心をアップグレードさせながら、至福と不死を目指していくだろう。そしてその過程でデータとアルゴリズム、それらを扱う一握りの人間が主導権を握り、ほとんどの人類はアルゴリズムに従うだけの家畜のような存在になってしまい、自由主義と個人主義は根底から切り崩されてしまうだろうという不穏な未来像を、ハラリさんは可能性の一つとして提示しています。

3作目の『21 Lessons』は、ハラリさんが21のテーマで語るエッセイ集という感じで、これもすごい本です。

これら3作の中で、一番衝撃的だったのが『ホモ・デウス』です。読みやすい順では『21 Lessons』>『ホモ・デウス』>『サピエンス全史』ですが、個人的に引き込まれた順では『ホモ・デウス』>『21 Lessons』>『サピエンス全史』でした。

『ホモ・デウス』の中でハラリさんは、あらゆる意味と権威の源泉が、歴史が進むにつれて「神」から「人間の経験」に移り、それが今では「データとアルゴリズム」に移ってきていると指摘しています。さらに「データ至上主義」という新しい宗教が、すでに科学界の主流を席巻していると言います。歴史学者のハラリさんが、宗教の観点から現在の世界を見て、いちばん興味が湧く場所はシリコンバレーとのことです。

僕が好きな落合陽一さんは「デジタルネイチャー」という、人間も動物も自然も機械も、すべてが計算機=アルゴリズムとして調和する世界観を提示していますが、これもハラリさんが言うところのデータ至上主義なのかなと思います。

『ホモ・デウス』は、「生き物は本当にアルゴリズムにすぎないのか?そして、生命は本当にデータ処理にすぎないのか?」という問いかけで締められています。

なんというか、『ホモ・デウス』を読むと、現在の世界で起こっている変化は、人類の歴史上で最も大きな変化であるだけじゃなく、生命の歴史上で一番の大変動なんだなと思います。

今まで考えもしなかった新しい視点や知識が、各ページにたくさん詰まっているような濃い本でした。

サラタメさんのYouTube解説動画がめちゃくちゃ分かりやすくてオススメです。(最後は解説動画に丸投げします。笑)

『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』