藤野英人著『投資家が「お金」よりも大切にしていること』

9冊目に紹介する本は、藤野英人さんの『投資家が「お金」よりも大切にしていること』です。

「これを題材に学校で金融教育したらいいのでは?」と思うくらい、お金について考える上ですごくいい教材だと思います。

とくに印象に残っているのは、間違って解釈された「清貧の思想」が、日本をダメにしていると指摘しているところです。著者の藤野さんによると、多くの人が「清貧の思想」を極端に捉えて、「汚れてもいいので、お金持ちを目指す=汚豊」か、「貧しくてもいいので、清らかさを目指す=清貧」しかないと、二者択一で考えてしまっている。そうではなく、「清らかであり、豊かでもある状態=清豊」があり、ここを理想とすべきではないかと、藤野さんは言います。

このほかにも、
「お金の使い方に自覚的になり、お金をステキなものに使う」
「良い消費者になり、お店で『ありがとう』と言うことが最高の社会への投資」
「人は生きているだけで消費活動をしていて、誰かの生産活動に貢献している」
など、ハッとさせられることが多く書かれています。

読むことで、社会がより鮮やかに見えるようになる1冊です。