本紹介7冊目は、藤原和博さんの『坂の上の坂』。
司馬遼太郎が『坂の上の雲』で描いた明治時代、寿命は約50年だったので、一つの山を登れば人生はすぐに終わりを迎えました。寿命が延びた今、登った坂の上には、さらに坂があります。本書は、そんな時代の生き方について考えさせられる本です。
著者の藤原和博さんは、民間出身の校長として有名になった教育改革実践家です。「大量生産大量消費の社会」から「成熟社会」への変化に応じて、教育も「正解を求める情報処理力」重視から「納得解を導き出す情報編集力」重視へと転換すべきだということを提唱されています。
そんな藤原さんが本書では、民間企業での経験、フランスやイギリスなどの成熟社会で過ごした経験、教育現場や、普段の生活の中で考えていることなどをもとに、これから「坂の上の坂」世代が生きていく上でのアドバイスを55項目書かれています。
「無謀なことをやろうとするほど、人は応援してくれる」
「ときには、逃げてみる」
「テレビをリビングから追放しよう」
「組織に棚卸しされる前に、自分の棚卸しを」
「"いい子"を降りると、手に入るものがある」
などなど、面白く、完全に納得する内容ばかりでした。
藤原さんの本は他にも数冊読みましたが、これが一番よかったです。
