『脳のワーキングメモリを鍛える!』は、多くの気づきが得られるホームラン本でした!
★ワーキングメモリとは何か
著者のトレーシー・アロウェイ、ロス・アロウェイ夫妻は、ワーキングメモリとは、脳内の知識や感情、記憶などのいろんな情報を処理したり統合したりする機能のことで、パソコンでいうCPUのようなもの、オーケストラでいう指揮者のようなものであると言います。脳のワーキングメモリには、おもに前頭前皮質という部位が関わっています。
ワーキングメモリがうまく機能すると、情報に優先順位をつけたり、重要なものごとに集中したり、ものごとをすばやく考えたり、個人的な判断をくだしたり、勉強や仕事をスムーズにすすめたり、切迫した状況でもポジティブでいられたりするようです。
これまで注目されてきた「知っていること」を測る「IQ(知能指数)」よりも、「知っていることをいかに繋ぎ、活用するか」に関わる「ワーキングメモリ」こそ、本当の知性を測る物差しではないかと、最近注目が集まっています。
★ワーキングメモリを鍛え、働きを良くする方法
この本では、研究の成果や脳科学の知見などの科学的な根拠をもとに、ワーキングメモリを鍛える方法と、その働きを良くして仕事や生活において活用する方法がたくさん紹介されています。以下、これから実践しようと思ったことのリストです。
◎ランニングする。(ランニングすると前頭前皮質が活性化し、ワーキングメモリが改善する。)
◎読書する。ふだん読み慣れているものより、少し難しい内容のものを読む。(本を読むとき、1行前に読んだ内容を覚えておかないと理解できないので、ワーキングメモリがフル稼働し、鍛えられる。)
◎仕事では「この時間はこの作業に専念する」と決める。マルチタスクは控え、ワーキングメモリへの負担を軽減する。
◎充分な睡眠をとる。
◎仕事の合間に、しっかり休憩をとる。
◎部屋やデスクまわりを整理整頓する。いらないモノは捨てる。
◎テレビやスマホから入ってくる、自分にとって必要がない情報によってワーキングメモリを圧迫しないように気をつける。
◎外国語を学ぶ。使う。
◎日々のTO DOリストを書き出して重要度の低いものをやめてみる。
◎一生ワクワクしながら働き続ける。
★良かったところを抜粋
最後に、良かったところを抜粋して紹介したいと思います。
◎ワーキングメモリを鍛えれば、あなたは困難を乗り越え、人生のあらゆる場面で実力を発揮できるようになる。
◎ワーキングメモリを無視したり、情報過多にしたり、損なったりすると、大きな不利益が生じる。だがワーキングメモリに集中し、注意を払い、改善していけば、無限の可能性が広がる。
◎強いワーキングメモリと楽観性には相関性があることがわかった。強いワーキングメモリをもつ人は将来に希望と自信をもち、楽観的になりやすく、弱いワーキングメモリをもつ人は悲観的になりやすいのだ。
◎真正面から問題に取り組めば、もてる能力を存分に発揮するワーキングメモリの協力を得ることができる。そうなれば、どんな障害に直面しようと、そのたびに対処できるはずだ。
◎さまざまな研究により、ランニングをつづけているとうつ病になりにくくなるうえ、新たな脳細胞をつくりだし、鎮痛などさまざまな生理作用をもつエンドルフィン類のすばらしいカクテルを調合し、ストレスがかかる状況に対処できるようになることがわかっている。
◎心理学者が呼ぶところの「心の理論」にもワーキングメモリが欠かせないことがあきらかになったのだ。「心の理論」とは、「自己」というものへの気づきであり、さらには、「他者は自分とは異なる仕方で世界を認識しているかもしれない」という意識であり、だからこそ、異なる環境に自分を適応させる必要があるという「気づき」のことである。
『脳のワーキングメモリを鍛える!』は、これからも何度か読み返し、実践していきたいと思います。
脳のワーキングメモリを鍛える! 情報を選ぶ・つなぐ・活用する