赤羽雄二さん著『ゼロ秒思考』

マッキンゼーでコンサルタントとして活躍された赤羽雄二さんが書いた『ゼロ秒思考』という本を再読したところ、すごく良かったので紹介したいと思います。

「もやもやしている」「考えが深まらず、堂々巡りして前に進まない」と感じている方に特にオススメです。

この本で赤羽さんは、本の副題にもなっている「頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング」として、「メモ書き」を薦めています。

具体的には、横にしたA4用紙の上の方に「考えたいテーマ」を書き、その下に、そのテーマについて頭に思い浮かんだことを数行、1分間でメモを書くというトレーニングです。そしてメモしたものの中で、さらに掘り下げて考えたいものがあれば、それをテーマにして新しい紙にメモを書く、ということを繰り返していきます。赤羽さんはこのトレーニングを1日10回、10分間行なうことを薦めています。

実際にやってみると、普段ぜんぜん頭を使っていないのかなと思うほど、10分間で脳がくたくたになります。

この本には、考えるテーマの例として、「心を落ち着ける、整理する」「コミュニケーションをスムーズに行なう」「やりたいことをやり遂げる」「成長する、仕事がもっとできるようになる」というカテゴリーに分類された400タイトルが掲載されているので、まずはこれらの中から気になるものを選んで、やってみるのもオススメです。

ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

最後に、メモ書きの効能について書かれている文章が、読んでいてワクワクするものだったので、少し長いですが紹介したいと思います。

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 メモを書くと、頭の整理ができるようになる。頭の整理ができるというのは、今何が大切か、大切でないか、今何をすべきか、しなくてもよいのか、常に明確にわかっているということだ。いろいろな問題が同時に起きても、慌てず騒がず、必要な情報を収集し、重要・深刻なものから順次解決していくことができる。

 そうすれば、どんどん成果が出る。やればやるだけ前に進む。結果として自信がつき、ポジティブになり、何かあっても容易に感情を乱されない。以前であれば腹が立つような状況でも、相手の言動の背景がわかるようになるので、我慢するのではなく、自然体でいられるようになる。

 自然体というのは、自分に自信を持ち、かつ謙虚な状況のことだ。肩肘を張らない。人を見下したりしない。相手の立場が上だからと言って過度に緊張したり萎縮したりもしない。相手が下だからと言って馬鹿にしたり、子ども扱いしたりしない。

 直情的にかっとすることもむやみに感情的になることもなく、常に平常心でいられる。といって、熱い思いがないわけでは決してない。むしろ、目的意識が強く、目指すところも高いので、熱意がみなぎった状態でもある。言うのは簡単だが、実際は非常にむずかしい。ほとんどの人は、自然体を維持したいと思いながらもうまくできずにいるかもしれない。

 会社でそれなりに出世している人も、上司、部下、同僚との関係で多かれ少なかれ緊張して、どこかに無理が生じていることが多い。メモ書きにより自然体を維持しつつ、最善手を打っていると、そうでない人たちとはっきり差がついてくる。最善手の積み重ねが効いてくるし、困難な状況での取り組む姿勢も大きく違ってくるからだ。

 メモを書くと、メンバーを活かし、人を立てつつ、目的の達成を目指すことができるので、余計なぶつかり合いも減り、チームワークを自然に実現できるようになる。そうすると、自信がさらにつき、好循環が進む。自分でも驚くほど一層の成長を遂げる。頭が常に整理されているので、感情に流されることが減る。全体像が見えるので、今何をやるべきか、次は何に対して準備しておくべきかがはっきりと見え、仕事のスケールが大きくなっていく。

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赤羽雄二さんの本は、他にも『速さは全てを解決する ゼロ秒思考の仕事術』『ACTION READING』『変化できる人』も読みましたが、どちらもすごく良い本でした。

速さは全てを解決する 『ゼロ秒思考』の仕事術

アクション リーディング 1日30分でも自分を変える”行動読書”

変化できる人 人は誰でも、何歳でも変わることができる