歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ

世界的ベストセラー『サピエンス全史』で一躍有名になった、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリさんから、僕が学んだ(学んでいる)ことを、自分の頭の中を整理する目的で、以下思いつくまま書いてみたいと思います。

・「人類が地球上で繁栄している理由は、国や貨幣や企業や神話やイデオロギーなど、現実には存在しないもの(虚構)を信じることができるから。そのため、大規模な協力が可能になった」という視点

これは『サピエンス全史』のメインテーマであり、多くの読者にとって衝撃的だったように、僕にとっても世界の見え方が変わりました。

ハラリさんは「虚構=フィクション=ストーリー」をネガティブに捉えているわけではなく、「人間の大規模な協力を可能にするもの」であるとして、ニュートラルに捉えています。

ただ、人間が作り出した虚構が、ときどき人間以上に価値があるものとして捉えられ、人間を支配してしまうことがあることに警鐘を鳴らしています。僕はこの観点がとても大事だと感じています。

・「人類はすでに、これまでの歴史を通して苦しんできた『戦争』『飢饉』『疫病』という3つの課題をほぼ克服しており、現在人類が直面している主な課題は『気候変動』『技術的破壊』『核兵器の危機』の3つである」という指摘

→ハラリさんは人類に、本当に重要な課題に目を向けるよう促しています。

未だに紛争や食糧不足、感染症で苦しんでいる地域がありますが、ハラリさんの巨視的な人類史の視点から見ると、昔はこれらの問題は人類にとって「技術的に解決不可能」であり、神様に祈る以外に方法はないと捉えられていましたが、今は「技術的に解決可能」であり、もしある地域に紛争・食糧不足・感染症という課題があるなら、それは「政治的な失敗」の結果だということです。

今、本当に注目し、解決のために力を注がないといけない課題は、①人類の活動がもたらす気候変動による生態系の危機、②AIとバイオテクノロジーの台頭による「労働市場の急速な変化がもたらす社会の不安定化」と「生物学的格差の拡大」などの技術的破壊、③核兵器使用の危機という3つの課題です。これらに、グローバルな協力を通して適切な規制をかけつつ対応していくことが必要だとハラリさんは訴えています。

・家畜の苦しみ(人類以外の動物の視点から見た歴史)

→現在地球上に生きている大型動物のうち、野生の動物が占める割合はほんの少しで(これは人類が多くの種を絶滅に追いやったため)、ほとんどは家畜と人間が占めています。そして牛や豚、羊や鶏などの家畜は、機械化された畜産業界の中で、工場の部品の一部のように扱われ、悲惨な境遇に置かれています。ハラリさんの本は、この現実に少しでも向き合うように促してくれます。

・イデオロギーの変遷(現在「自由主義的な人間至上主義」というイデオロギーが揺さぶられ、データ至上主義が力を持ってきている)

→『ホモ・デウス』の終盤や『21 Lessons』を読むことで、イデオロギーの変遷について学ぶことができました。宗教が力を持っていた時代から、科学革命を経て、3つの人間至上主義(共産主義・ナチズム・自由主義)が戦い合う時代へ。そして第二次世界大戦、東西冷戦を経て、自由主義が唯一生き残ったイデオロギーに。それが今、人々は自らの心の声よりも、AIとビッグデータを駆使したアルゴリズムに従い始めたため(今はまだGoogle MapやAmazonのリコメンドに従うのみですが、やがては結婚や進路、職場の選択、選挙時の投票の判断もアルゴリズムに任せる時代が来るとハラリさんは予想)、自由主義の2つの側面である資本主義と民主主義が揺らぎ始めています。このように、ハラリさんの俯瞰的な視点からの解説は、複雑なイデオロギーの変遷について理解する手助けをしてくれるように感じます。

以上、ハラリさんから学んだことをいくつか挙げてみました。

それでは。

九十九里浜